先日も書いたが、帰省期間中にAmazonで本を注文した。

ウェブマスターの趣味のひとつに古いコミックの収集があるが、中でも自慢は講談社から刊行されていたミクロマンのコミック7冊揃いだ。ウェブマスターはもともとこの玩具が大好きで、当時は段ボール箱一杯にミクロマンを集め、存分に遊んだ記憶がある。(玩具については以前に若干書いた記憶があるので、今回は触れない)
当時、講談社の幼年向けテレビ雑誌「テレビマガジン」に同玩具とのタイアップ漫画が連載されており、当然ウェブマスターは熱狂して読んだ。タカラのオリジナル玩具だったミクロマンはテレビとのタイアップを行わなかったため、この漫画が事実上唯一の宣伝媒体だった。熱狂して読んだとは言っても子供の頃のことなので、ストーリーは全く記憶に残っていない。ひょとしたら理解できていなかったかもしれない。しかし、玩具遊びの副読本としてウェブマスターがこの漫画を愛読していたことは間違いなく記憶に残っている。

そして高校生の頃本格的に古いコミックを集めだし、ふと手に取ったのが同漫画の単行本だった。講談社コミックの独特な装丁とともに、全頁青色インクでの印刷(1巻のみ青色印刷)が目を引き、懐かしさに後押しされるように購入してしまった。

作画の森藤よしひろ氏はとても絵のうまい方で、変なデフォルメ抜きで玩具をそのまま描写(玩具に刻印されているタカラのロゴもそのままスケッチしているほどだ)しているにもかかわらず、誌面で見るメカニックたちは実に格好いい。かといってメカニック描写一辺倒の漫画家ではなく、人物もとても生き生きと描かれていて、これならば現代の子供たちも大いに楽しめるであろう楽しい漫画になっている。
ストーリーは5巻辺りからかなりハードなSFの片鱗を見せてくるが、残念ながらコミックは7巻までしか刊行されなかったようだ。かなり中途半端な終わり方というか実際には打ち切りとしか思えないが,この7冊のコミックはその希少価値も手伝ってウェブマスターの宝物となった。

今回の帰省の最中に、このミクロマンが完全版として刊行されているのを発見してしまった。完全版とうたっているだけあって、刊行されなかった7巻以降のストーリーも収録されているらしい。ウェブマスターは興奮しながら購入した。残念ながらこの完全版、店頭には3巻しか見当たらなかったため、帰宅後すぐにAmazonで1巻と2巻を注文した。
完全版とはいうものの、やはり打ち切りは確かに事実だったようで、ストーリーは完結していない。元の連載分が完結していないのだからそれも当然で、完全版の3巻には当時の単行本の7巻以降のストーリーが若干載っていたが、それもやはり尻切れトンボで終わっていた。だからといってこの本の価値は一切下がるものではなく、貴重な当時のコミックを傷めることなくいつでもストーリーを満喫できるのだから、良い買い物をしたと思っている。

しかし、巻末の編者あとがきを読んでショックを受けた。作画の森藤氏はすでに他界されてしまったというではないか。(2000年11月らしい)こんなに好きな作品の完全版が出ていたことも知らず、こんなに好きな作品の作者の訃報も知らず、一体ウェブマスターは何をやっていたのだろうか。幼年漫画については一家言あるようなつもりでいたこれまでの自分が、恐ろしく恥ずかしくなった出来事だった。

遅きに失した感があるが、ウェブマスターの玩具人生と古本人生の精神的な一助となった森藤氏のご冥福を切にお祈りする。