ノスタルジアと男の美学

引き続き、クレヨンしんちゃん「アッパレ戦国大合戦」を購入。

戦国時代マニアではないので正確なことはいえないが、こんなに時代考証に頑張った戦国物映画は珍しいのでは?というくらいしっかりした出来。素直に戦国物映画として評価できるのでは?


こうしてクレヨンしんちゃんの劇場版を見ていると、実に30代から40代の「オヤジ」にクリーンヒットする作りをしているなあ、と思う。
「オトナ帝国の逆襲」を見て号泣した我が胸に去来したのは「どうして大人になっちゃったんだろう」というノスタルジアに征服された心境だったし、「戦国大合戦」で心洗われたのは「己の欲望を殺して生きる男の格好よさ」にしびれるという感覚に酔いしれたからだ。


そしてこの2作に共通するのは「今の子供に見せてもわからないんじゃねえの?」というオタク的な優越感をそそられるという点。オタクというのは偏屈なもので、自分しか楽しめないかもしれない、という感覚に弱いし、この2作はその辺の感覚のくすぐり方が実にうまいと思う。

ていうか、うつだった時(現在はほとんど回復。いまだに酒を飲まないと寝られないが)に「オトナ帝国の逆襲」を見ていたら、たぶん仕事も彼女も家族もかなぐり捨てて遁走していただろう。それほどに、オヤジになってしまったことの切なさをえぐる作品だと思う。