ついにDDIポケットが買収されるらしい。
良い方向に変わるか、悪い方向に転ぶかはわからないが、ウェブマスターは早くこうなることを望んでいた。親会社のKDDIがノンコア事業であると発表して以来、DDIポケットは企業としてかなり腰が引けた活動をしていたと思う。
その技術やインフラでは携帯電話よりもメリットが多いにもかかわらず、PHSというものが全く社会的に認知されていないのは、携帯電話の廉価版というイメージが定着してしまったからだ。
以前DDIポケットのコミュニケーションセンターに出向いたとき、隣のカウンターで解約手続きをしていた若者がいた。解約理由を聞かれ、彼は「いや、高校卒業するし、そろそろ携帯かなあ、と思って」と律儀に(ここまで律儀に答える必要もないと思うのだが)答えていた。恐らくは彼のその認識が、大方の社会的認知なのだろう。
現実問題として、端末の安っぽさがある。企業としての体力やビジネスモデルが全く違うのだからどうしようもないことだが、携帯に比べて圧倒的に端末が「安い」。作りも安いし、機能も盛り込めていない。携帯電話は通信機ではなく、大人の玩具だ。電車の中でゲームボーイを取り出す勇気のない大人たちが、手持ち無沙汰な時にいじる玩具なのだから、遊べる機能は目一杯盛り込まないとならない。

しかし、DDIポケットKDDIの端末を越えるモノを出すわけには行かない。ノンコア事業なのだから。これはどうしようもない構造的な問題で、親会社と子会社のシノギがかぶってしまったら、割を食うのは子会社に決まっているわけだ。
すでにかなり憶測まじりの発言だが、京セラのAirH"Phoneの発売が遅くなったのも、そのあたりが根本的な原因(インセンティブが決まらないetc.)なんじゃないかと思っている。

さて、買収が決まった。
KDDIの持ち株は10%まで落ちて第3株主となるわけだから、筆頭株主のカーライルと30%持ち株の京セラは、KDDIの顔色を(そんなに)うかがう必要はないはずだ。携帯電話の廉価版ではなく、ネットの世界をポケットに入れて持ち運べる常時接続端末としてのPHSを強力にアピールしていってもらいたいものだ。

・・・ところでナンバーポータビリティは、PHSも視野に入れて議論されているのだろうか?

追記:日本テレコムソフトバンクに買収されるという。こちらに関してはウェブマスターは大反対だ。事業展開にあまり熱心ではない代わりにセキュリティに気を配ったプロバイダだと思い、日本テレコムのことを高く評価していたのに、ソフトバンクは真逆の経営方針ではないか。